熊本機能病院留学記(第1報) 酒井 健

熊本機能病院留学記(第1報) 酒井 健

2016年4月より1年間の予定で熊本にあります、熊本機能病院にて国内留学させて頂いております。ハンドの専門領域を極めたいと思い、こちらのハンドチームに所属させて頂いております。

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病院新棟の外観。今年2月にできたばっかりです。この他にも旧棟がいくつかあります。

4月14日こちらに赴任してすぐに皆さんもご存知かと思いますが、熊本地震が起きました。

自分が住んでいる病院の近くの地域は倒壊するまでの被害は少なかったのですが、自分の住んでいる部屋は家具が全部倒れて家電製品も全て壊れてしまい、2週間は水もお湯も使えない生活が続きました。自宅が損壊または被害を受け、病院で寝泊まりしているスタッフも多くいらっしゃいました。3.11も横浜で経験しましたが、実感としてはその時とは比べ物にならないくらいの揺れでした。

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旧棟で破損した床。天井や壁も旧棟では崩れてしまいました。

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震災直後の医局。パーティションの重い壁が全て倒れました。

病院自体は古い病棟の方は天井や壁が崩れ落ちてしまった状態でしたが、新しい建物の部分は無事で、井戸水を使用していたため、震災直後も機能できました。周りの大きい病院はさらに被害がひどく、水が使えない状態になり、機能できない病院も多かったようで、多くの救急患者さんがいらっしゃいました。入院患者さんに院内の安全な場所に非難して頂き、オーバーベッドのため、申し訳ないのですがロビーに入院して頂くような状態でした。

手術も直後は全身麻酔が地震による機械の破損で難しかったので、局所麻酔にてマイクロで神経縫合などを行う状態でした。災害医療を経験するのは初めてでしたが、この経験は一生忘れないと思います。

現在は震災前の状態を取り戻しており、毎朝8時頃からカンファレンスを行い、曜日によって病棟、外来、手術の業務を行っています。病床数は410床で手術室は8部屋もあり、毎日フル活動で手術が行われています。また、ハンドは救急の症例も多いので、救急で呼ばれることも多く、腱縫合など局所麻酔でできる手術はその場で行うことが多いです。症例も上肢の手術だけでも年間1200件程度(下肢も合わせると2500件程度)ととても豊富です。PT,OTの方々も150人も勤務されており、ハンドのリハでは欠かせないスプリントの作成なども教えて頂いております。

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体育館のようなリハビリ室。この他各病棟にもリハビリ室があります。

また、一般の病院ではありますが、動物舎があり、毎週金曜日はラットを用いてマイクロの血管吻合等のトレーニングを院長より直接ご指導頂いております。秋くらいに院外の先生方にラットを用いたマイクロの研修会が開かれる予定ですが、そこで指導者として参加しなければならないということで、現在スパルタ(?笑)で指導して頂いております。土曜日はマイクロに関する文献の抄読会も行われており、マイクロに関する基礎的な知識も叩き込まれています。毎日があっという間に過ぎてしまい、日々多くの御指導を頂きながら、とても充実した毎日を過ごさせて頂いております。

留学に際し、このような機会を与えてくださいました医局ならびに同門の先生方に大変感謝申し上げます。今後もしっかりとハンドに関する手技、知識を吸収し、成長していきたいと思っております。

交通アクセス

昭和大学藤が丘病院整形外科

〒227-8501 神奈川県横浜市青葉区藤が丘1-30
TEL:045-971-1151(代表)

昭和大学藤が丘リハビリテーション病院

〒227-8518 神奈川県横浜市青葉区藤が丘2-1-1
TEL:045-974-2221(代表)

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